保育園看護師とは?
保育園看護師とは、「園児の健康管理を専門に行う看護職」で、保育補助や保護者対応まで幅広い業務を担う仕事です。

保育園は病院のような医療機関ではありませんが、0歳から5歳の子どもたちはまだ免疫が未発達な時期。体調を崩しやすく、感染症が広がりやすい環境でもあるため、実は専門的な看護やケアのニーズが非常に高い現場です。
看護師を「保育士の一人」として配置基準にカウントできることもあり、近年では保育の現場で看護師を求める声が急速に高まっています。
「病棟での忙しい毎日から離れ、子どもたちの成長を支えたい」——そんな想いを持つ看護師さんにとって、保育園は今、非常に注目されているフィールドです。
保育園看護師の主な役割
保育園看護師は、子どもたちが安心して過ごせる環境を整える「健康管理の専門家」です。具体的な役割を5つのポイントに分けてご紹介します。

① 園児の健康管理と観察
- 登園時の検温・視診、皮膚トラブルのチェック
- 食欲や機嫌、日々の体調変化の確認
保育園での一日は、子どもたちの顔色や機嫌をチェックすることから始まります。0〜5歳の子どもたちは、自分の不調を言葉でうまく伝えられません。だからこそ、「いつもより元気がないかな?」「少し食欲がないかも」といった、看護師ならではの小さな変化に気づく観察力がとても重要になります。
② ケガ・体調不良時の応急処置
- 転倒による怪我、急な発熱・嘔吐への対応
- 受診の判断や保護者への連絡
- 不安に寄り添うメンタルケア
保育園では、予想外のケガや体調不良が起こることも日常茶飯事です。適切な処置はもちろんですが、何より大切なのは子どもたちの不安を和らげること。「痛いね、大丈夫だよ」と落ち着いたトーンで声をかけたり、「今からお熱を測るね」と次に行うことを優しく伝えたりすることで、子どもが安心できる環境を作ります。

私の以前の職場では、発熱でぐったりしてしまう子や、元気すぎて転倒し打撲してしまう子が多かったです。「どうすれば少しでも痛みが和らぐか」「安心してママ・パパを待つことができる環境の整え方」を常に考えながら園児と向き合っていました。

③ 保護者へのサポートとコミュニケーション
- 健康相談やアレルギーに関する説明
- 登園許可証や登園基準の案内
- 仕事で忙しい保護者さんへの心強いバックアップ
保護者の方にとって、園に看護師がいることは大きな安心材料です。家庭でのケアについて相談に乗ったり、園での様子を伝えたりと、保護者に寄り添ったコミュニケーションも大切な仕事のひとつです。
特に、仕事で忙しく、子どもの急な体調不良を心配される保護者さんからは、本当に感謝されることが多いです。 「お迎えに来るまで、看護師さんが看てくれていて助かりました」 「病児保育の情報や、家での看病のコツを教えてもらえて安心しました」 そんな言葉をいただける瞬間は、やりがいを強く感じるひとときです。
④ 感染症予防と衛生管理
- 園内の清掃や玩具の消毒などの消毒スケジュールの管理
- 季節の感染症(インフルエンザ・RSウイルス等)への対策
- 園児への手洗い・うがい指導
集団生活を送る保育園では、感染症の拡大を防ぐ「水際対策」が欠かせません。おもちゃの消毒や職員への衛生指導を行い、園全体の清潔を保ちます。また、子どもたちに「手洗いの大切さ」をクイズや歌を交えて楽しく教えるのも、保育園看護師ならではの楽しい業務です。
⑤ 保育補助(特に乳児クラス)
- 0〜1歳児の授乳やオムツ交換の介助
- 食事の補助や遊びの見守り
実は、業務の大きな割合を占めるのが保育のサポートです。特に乳児クラスに入ることが多く、子どもたちと密に関わります。保育士さんと協力しながら、日々の成長を間近で見守ることができます。体調不良時に、園でできる唯一の医療専門職として判断するという大切な責任があります。
保育園看護師の1日の仕事スケジュール
保育園看護師の1日は0歳児の保育補助をしながら、園全体の園児達の体調を見守り、安全に過ごせるようサポートしていきます。
病棟のように医療行為は多くありませんが、その分小さな体調変化に気づく観察力がとても大切になります。
目の前の園児と全体の安全の両方に気を配りながら、穏やかな時間の中で子どもたちを支えていきます。

保育園看護師の1日は、子どもたちの生活リズムに合わせて進みます。病院とは違う、穏やかで活気ある1日の流れをご紹介します。
● 08:00〜 登園・健康チェックと情報共有
朝は子どもたちが元気に登園してくる時間です。保育士さんと連携しながら、一人ひとりの検温や風邪症状の有無を確認します。 保護者の方から「昨日の夜に咳が出ていた」「少し食欲がなかった」といったお話を聞くことで、その日の見守りポイントが明確になり、小さな変化にもいち早く気づくことができます。
● 09:00〜 午前の保育補助と安全確認
この時間は0〜1歳児さんの保育が中心。ミルクやおむつ交換、おもちゃ遊びを通して子どもたちと密に関わります。 日常の触れ合いの中で、呼吸や表情の変化をそっと見守り、安心して過ごせるよう寄り添います。また、活発に動く時間帯なので、遊びの中での小さな怪我にもすぐ対応できるよう準備を整えておきます。
● 10:00〜 季節の活動(水遊び・お散歩)の見守り
夏の暑い時期は水遊びがメイン。皮膚の状態を確認しつつ、熱中症や脱水にならないよう、こまめな水分補給を促します。 それ以外の時期はお散歩へ。歩くペースや周囲の環境に気を配り、転倒などのアクシデントがあった際は、その場ですぐに応急処置を行い、子どもたちの不安を和らげます。
● 12:00〜 給食の見守りとアレルギー対応
安全に食事ができるよう、特に咳が出ている子の様子を注意深く見守ります。食欲がない子には、無理のない範囲で優しく声をかけます。 また、アレルギー対応は看護師の重要な役割です。誤食がないよう細心の注意を払い、安心できる環境を作ります。万が一に備え、園でお預かりしている「エピペン」の使用手順をシミュレーションしておくなど、迅速な対応への備えをしておくと安心です。

● 13:00〜 お昼寝(午睡)の見守りと事務作業
お昼寝中は、SIDS(乳幼児突然死症候群)を予防するための大切な見守り時間です。 うつ伏せ寝の子は優しく仰向けに戻し、咳き込んでいる子には上半身を少し高く(ギャッジアップ)して楽な姿勢に整えるなど、子どもが安全に過ごせるように見守ります。この間、そばで「保健だより」の作成や体調不良の記録整理、園の制作物のお手伝いなどの事務作業も進めます。
● 15:00〜 おやつの時間
14時半ごろから子どもたちが目を覚まし、お待ちかねのおやつの時間が始まります。みんなが楽しく安全に食べられるよう配慮し、午後の活動に向けて体調に変化がないか再確認します。
● 16:00〜 お迎え対応と保護者への共有
お迎えに来た保護者の方へ、その日の様子を丁寧にお伝えします。 「朝おっしゃっていた咳ですが、お昼寝中は落ち着いていましたよ」といった、朝の情報と照らし合わせた具体的な報告は、仕事で離れていた保護者の方に大きな安心を届けることができます。
まとめ:生活に寄り添う「看護」の形
保育園看護師の1日は、保育補助から応急処置、健康管理まで多岐にわたります。 病院のような高度な医療行為は少ないですが、毎日関わるからこそ築ける信頼関係があります。一人ひとりの個性に合わせた対応ができるようになると、子どもたちのわずかな表情の変化にも気づけるようになり、それが大きなやりがいへと繋がります。
保育園看護師のやりがい
保育園看護師として働く中で感じるやりがいは、病院勤務とはまた違った温かさがあります。私が実際に働いて感じた4つの魅力をご紹介します。

① 子ども一人ひとりとじっくり関われる
病棟のように慌ただしく患者さんが入れ替わる環境とは違い、保育園では毎日同じ子どもたちと関わります。 「昨日は登園時に泣いていた子が、今日は笑顔でハイタッチしてくれた!」といった小さな変化や、「できた!」の瞬間を間近で一緒に喜べることは、この仕事ならではの大きなやりがいです。
② 長期間にわたって成長を見守れる喜び
保育園では数ヶ月から、長ければ数年単位で子どもたちの成長に関わります。 入園したばかりの頃は体調を崩しがちだった子が、卒園する頃にはすっかり逞しくなる。そんな「発達のプロセス」に伴走できることは、予防医療と保育が融合した保育園看護師だからこその魅力です。
③ コミュニケーション能力が自然と磨かれる
日々の関わりを通して、子どもや保護者との信頼関係が深まりやすい環境です。
- 子どもへ: 言葉がまだ未発達な子への、表情や仕草を通じた関わり。
- 保護者へ: 専門用語を使わず、わかりやすく安心を届ける伝え方。 看護師としての「聴く力」「伝える力」が、現場での経験を通して自然とステップアップしていきます。
④ 「自分なりの看護」を形にできる
多くの保育園では看護師は一人配置です。そのため、園児の様子を見ながら「今は保健指導を優先しよう」「この子は少し様子を見よう」と、自分の判断で動ける裁量があります。 責任はありますが、自分の大切にしたい看護観(ケアの在り方)を形にできるため、主体的に働く楽しさを実感できます。

「一人で判断するのは不安…」と思うかもしれません。私も最初はそうでした。でも、迷った時は担任の保育士さんに相談したり、嘱託医の先生に指示を仰いだりして対応していました。周囲と連携する体制があるので、一人で抱え込まなくても大丈夫です。どんな職場でもチームで連携していくことが大事です。
まとめ 保育園看護師は「日常に寄り添う看護」ができる仕事

保育園看護師は、病棟のような高度な医療行為は少ないかもしれません。しかし、子どもたちの毎日の生活に寄り添いながら、その健やかな成長と安全を支えるという大切な役割を担っています。
特に0〜5歳の子どもたちは、体調の変化が激しい時期。日々の関わりの中で「いつもと少し違うな」という小さなサインに気づくことが、何よりの看護になります。毎日同じ子どもたちを見守るからこそ生まれる強い信頼関係は、保育園という場所ならではの宝物です。
また、保護者の方との距離が近く、日々のやり取りを通じて「看護師さんがいてくれて安心しました」と頼りにしていただけることも、大きなやりがいに繋がります。
看護師が一人配置の園が多い分、自分で考えて動く場面もありますが、保育士さんや嘱託医の先生と連携するチーム体制が整っています。決して一人で抱え込む仕事ではありませんので、安心してくださいね。
医療の現場とは違った形で、「子どもたちの毎日を守る看護」をしたいと考えている方にとって、保育園看護師は新しい自分に出会える素敵な働き方です。

今回も読んでいただいてありがとうございます。