「もう無理かもしれない」「仕事に行くのがつらい」
そんな気持ちが積み重なると、自然と「辞めたい」という言葉が心の中で繰り返し浮かんできます。
でも、その気持ちを一度立ち止まって、丁寧に整理してみてほしいと思います。
一口に「辞めたい」といっても、その奥にある感情は人によってさまざまです。
・単に疲れが溜まっているだけか。
・自分でも気づかないうちに、心も体も限界寸前になっているのか。
・あるいは「こんな看護がしたいわけじゃなかった…」という違和感や理想とのギャップがあって、つらいと感じているだけか。
どの気持ちも”間違い”ではありません。
でも、そのまま流されるように辞めてしまうと、後で「辞めなくてもよかったかも」と感じてしまうこともあります。

だからこそ、まずは
「本当に辞めたいのか」「ただ疲れてるだけなのか」「もう心が限界で、今休養が必要あるのか」
を自分の中で見つめ直してみてほしいです。
もし、今の自分が「とにかく逃げ出したい」「毎日涙が出る」ほどの状態なら、まずは退職の前に”休む”ことや”部署異動という選択肢を持ってもいいかもしれません。
少し距離を置くことで、見える景色が変わることもあります。
逆に、体調はそこまで悪くないけど「なんとなくモヤモヤしている」「やりがいが感じられない」であれば、その原因を明確にするために、自己分析をしてみると自分のしたいことが見えてくるかもしれません。
自分がどんな看護師でいたいのか、何にやりがいを感じるのか。
この記事では、「転職を決める前にやっておきたい自己分析の方法」について、自分の気持ちや看護観を整理するヒントをお伝えします。
この記事の内容
そもそも”自己分析”って何のためにやるのか

転職や働き方に迷ったときこそ、一度、自分の気持ちと向き合ってみることが大切です。
自己分析とは、自分の気持ちや価値観、得意・不得意、理想の働き方を客観的に整理すること。
今後の働き方を考えるうえでの”土台”となるステップです。
自己分析をするメリット
・自分にとっての「やりがい」がはっきりする
→どんな時に「看護って楽しい」と思えるのかが見えてくる
・苦手なことや合わない環境に気づける
→仕事内容、人間関係、忙しくてなかなか休みが取れないなど
・働き方の優先順位が整理できる
→収入?時間?スキルアップ?何を一番大事にしたいかが明確になる
・理想のキャリアや働き方が見えてくる
→自分に合った職場の条件がはっきりしてくる
・今の職場で改善できることに気づける
→実は環境を変えるだけで楽になることも
・転職するかどうか判断がしやすくなる
→続ける?辞める?どちらも前向きに選べるようになる
・面接でも”自分らしさ”を言葉にできる
→志望動機や自己PRに一貫性がでて、伝わりやすくなる
・これから転職する職場の失敗を防ぎやすくなる
→自分の軸があると、職場選びにブレがなくなる
このように、自己分析は「転職するため」だけではなく、自分を知って”納得のいくより良い選択”をするために必要な作業です。
今の職場での思いを振り返ってみよう
ただ「しんどい」「合わない」と感じているだけでは、本当の原因が見えてこないこともあります。
大事なのは、「何が」「どう」辛かったのかを具体的にすること。

・やりたい看護ができてるのか
・朝起きた時に、どんな気持ちで職場に向かってるのか
・どんな瞬間どんな理由で「もう無理かも」と思ったのか
・人間関係でストレスを感じる相手や場面
・勤務時間、休み、夜勤など、体力的にきつい部分
・自分をできない人間だと責めていないか
紙にも書き出してみると、自分でも気づいていなかった「不満の根っこ」や「続けたい気持ち」が見えてくることがあります。
「先輩ナースの言い方がきついだけで、仕事内容は好きだった」「人間関係が辛いけど、患者さんとの関わりにはやりがいを感じている」「人間関係は良好だが、仕事にやりがいが感じられない」
そんなふうに、気持ちははっきりと割り切れるものではなく、いくつもの感情が重なり合っていることがほとんどです。
辞める・続けるを決める前に、一度、自分の本音を丁寧にすくい上げてみることがとても大切です。
自分の看護観の自己分析
「どんな場面でやりがいを感じるのか」
「どのような人に、どんな看護を届けたいのか」
「1年後、3年後になりたい看護師像」
こうした視点で考えていくことで、自分が目指すべき看護の形が見えてきます。

たとえば、
▷急性期の現場で
幅広い知識や観察力を活かし、急な容態変化や術後対応など、判断力が求められる現場で力を発揮したい
▷回復期の現場で
病状が安定し、リハビリや社会復帰に向けて、患者さんと一緒に段階を踏んで回復していくプロセスを支えていきたい
▷慢性期の現場で
患者さんやご家族が自分らしく生活できるように、生活に寄り添った支援を大切にしたい
▷ターミナルケアの場面で
最後の時間を穏やかに、その人らしく過ごしてもらうために、体だけではなく心にも寄り添う看護に深い意味を感じる
▷看護に関わるさまざまな現場
・成人看護/小児看護/周産期看護
・ICU勤務/オペ室勤務
・病棟勤務(急性期、回復期、療養型など)/外来勤務
・介護施設/美容医療
・保育園・保健室/検診センター
・緩和ケア病棟/ホスピス …など

「どの場面で、どういった人に、どのような看護を届けたいか」
それを言語化することが、自分にあった働き方や職場を見つける第一歩になります。
自分に合う働き方の自己分析
自己分析を通してわかるのは、「どのような職場が自分に合うか」だけではなく、自分がどんな働き方をしたいのかがはっきりしていきます。

スキルアップを目指したい気持ちや、プライベートや将来を大切にしたい思いは、人それぞれ違ってきます。だからこそ、自分の価値観にあった働き方を選ぶことで選択肢の幅が広がります。
たとえば、
□ライフスタイル重視の人に合う働き方
・残業が少なく、定時で帰れる
・希望休が取りやすい
・夜勤なし or 少なめ
・通勤時間が短い
□結婚・出産・育児を見据えたい人
・育休、産休制度がしっかりしている
・時短勤務、日勤勤務など柔軟な働き方ができる
・保育園と提携がある
□キャリアアップ、経験を積みたい人
・専門分野で多くの経験を積める
・プリセプター、教育体制が整っている
・認定看護師、専門看護師の支援制度がある
□メンタル、健康を大切にしたい人
・人間関係が穏やかで、相談しやすい環境
・看護師数が充実していて、業務が分担されてる
・過度なプレッシャーが少ない職場
・無理なく働ける勤務体制(週休2日、シフト制)
□働き方に自由さを求める人
・派遣、単発、パートなどライフスタイルに合わせた働き方
・フリーランス、ツアーナース、イベントナースなど多様な働き方
・副業可能な職場
「自分にとっての心地よい働き方」を考えだしておくと、これからの選択がずっと楽になります。
迷った時は、「何を1番大事にしたいか」を問いかけてみてください。
辞めないという選択肢もある。今の職場でできること

「このまま続けていいのかな」「しんどい、疲れた、もう限界」
そんな気持ちを抱くことは、誰にでもあります。
でも、本当に辞めるしかないのか、一度立ち止まって考えてみることも大切です。
自己分析の結果、何が辞めたい理由なのかが見えてきます。
辞めたい理由を掘り下げると、意外と「仕事内容」ではなく、「人間関係」や「勤務形態」「理想とのギャップ」だったりします。
「働き方を変えたい」のか「環境を変えたい」のかを考えてみましょう。
辞めずにできる改善策・働き方の工夫
・配属変更や異動を相談してみる
・上司に業務量や働き方について相談してみる
・苦手な人とは業務中心に関わり、適度な距離感を保つ
・有給や休暇をとって一度リフレッシュしてみる
辞めないことが”成長”や”キャリア”につながる

今の職場を続けたからこそ、得られること・気付けることはたくさんあります。
・スキルアップ
看護技術の習得、幅広い看護知識、多くの症例数を経験でき、対応力を向上させられる
・人間関係のスキル
コミュニケーションのコツや、職場内での立ち回り方を学び、信頼関係も築ける
・転職活動でも有利になる
「継続して働いた経験」は、次の職場でも信頼や評価につながる大きな強みになる
まとめ|これまでを整理して、自分を知る6つのSTEP
焦らず、比べず、自分に合った働き方を見つけていきましょう。
自分に向き合うのは、想像以上にパワーが入ります。だからこそ、意味があります。
自己分析がしやすくなるように、STEP6つ簡単に書き出してみました!
ぜひ、活用してみてくださいね。

STEP1 今の気持ちを書き出す
・つらいと感じる理由は?
・朝起きた時、次の日が仕事の時、どんな思い?
・実は自分がこんなに頑張っていたこと
STEP2 職場での経験を振り返る
・しんどかったこと
・嬉しかったこと
・「できていること」や「成長したこと」にも目を向けて書き出しましょう
STEP3 自分の看護観を整理する
・看護師として、どのような場面にやりがいを感じるか
・自分が大切にしたいケアとは?
STEP4 理想の働き方を考える
・どんな働き方がしたいのか(休み、収入、スキルアップ、家庭など)
・自分に合った職場の条件を書き出してみる
STEP5 辞めない選択肢も検討する
・働き方の見直しで変わることも
・部署異動を申請してみる
・一度休んで気持ちをリフレッシュするのも◎
STEP6 優先順位を決める
・何を一番大事にしたいか
・それが今の職場で叶うのか、それとも環境を変えるべきなのか
・1年後、3年後、5年後にどんな看護師になりたいのか

このステップを通して、自分の本音や理想の働き方が少しづつ見えてくるはずです。
迷ってる今だからこそ、自分の声にじっくり耳を傾けてあげてください。
自分を知ることで、新しい道がきっと見えてきます。
あなたの選ぶ道が、あなたにとって心から納得できるようになってほしいです。
小さな一歩かもしれませんが、”自分を知ろうとした時間”は、きっとあなたの力になります。
無理しすぎず、肩の力を抜いて、少しづつ前に進んでいってください。

ここまで読んでいただいて、ありがとうございました